カフェオレの泡

浮かんでは消えていく泡のようなもの

2023-05-01から1ヶ月間の記事一覧

【読書日記】2023.5.30(火) 『STANDART 24』

今日一日を一言で表すと、車のバッテリーがあがったせいで、ちょっとずつ歯車が狂っていった日、となる。 詳細は割愛するが、なかなかな一日だった。雨のせいでジョギングもできない。こんな日は雑誌をぱらぱらめくるに限る。 スペシャリティコーヒーの文化…

【読書日記】2023.5.29(月) 『ジブリの哲学』、映画『旅の重さ』

春の陽が射す教室で、まどろみのなか聴こえてきたのは吉田拓郎の「今日までそして明日から」だった。夢か現か、判然としないままぼんやりと目に入ったのは白黒の映画のようだった。拓郎の歌声に身を委ねているうちに、再び眠りの世界へ引き込まれた。目が覚…

【読書日記】2023.5.28(日) 『寡黙な死骸 みだらな弔い』

すばらしく天気のいい日曜日だった。空にはひとかけらの陰りもなく、乾いた風が緑を揺らし、目に映るものすべてが光に包まれていた。アイスクリームスタンドの屋根や、野良猫の瞳や、水飲み場の蛇口や、鳩のフンがこびりついた時計塔の台座さえもが、誇らし…

【読書日記】2023.5.27(土) 衣食住の外

中丸くんの話を妻としてたら、人間の創作にかける思いみたいな話になった。妻は「私は衣食住以外のことが好きなのだ」だと話し始めた。曰く、生活に必要のないもの、なくても困らないものが好きであり、漫画や小説、絵画などの芸術はだいたいこれに該当する…

【読書日記】2023.5.26(金) 中丸くんについて語るときに私の語ること

KAT-TUNの中丸くんが漫画家としてデビューするというニュースに、驚いたのと同時に少しうれしくなった。中丸くんのことを思い出すとき、私はAちゃんのことを思い出す。 Aちゃんは大学のサークルの後輩で、私が二回生の時に新入生として入ってきた。控えめに…

【読書日記】2023.5.25(木) いつだって電話のベルは

村上春樹の小説では、電話のベルが鳴ると何かが始まる。大抵の場合、良いことではなく、主人公は混乱のなかに巻きこまれていく。小さな子どもをもつ親にとっての電話のベルも同じだ。良くないことの知らせ以外に電話なんてなることはない。幼稚園のお迎えの…

【読書日記】2023.5.24 (水)『象の皮膚』

小さい頃、ちょっとだけアトピーがあった。ひじの内側と首の後ろに湿疹があり、痒かった。症状で言えば軽度のものだったと思うが、それなりに嫌だった。まず、痒いというその症状自体が嫌だった。みんなにはないものが自分にはある。人と違うことが嫌だった…

【読書日記】2023.5.23(火) セブンティーンアイス、タンクトップの男

10年前の今日、長男が生まれた。天気が良く、とても暑い日だった。私は会社に出勤し、妻は産婦人科に定期検診へ行った。午前中、妻から連絡がある。今日、生まれるかもしれないけど、まだ時間はかかりそうなので一旦家に帰ると。暑い中歩いた妻は、その日冷…

【読書日記】2023.5.22(月) 「TVピープル」

母親のことを書く。といってもたいしたことではない。偏頭痛もちであんぱんが好きだったというだけの話だ。 母親は偏頭痛もちで、雨が降りそうになると頭が痛いと言い、雨が降るとスッと頭痛も引くのだと言っていた。曰く「私の頭は天気予報よりも正確だ」と…

【読書日記】2023.5.21(日) 『ごろごろ、神戸。』

自分で料理をしはじめてから、たいていのものは自分で作る方が美味しいと思うようになった。さすがにそれは言いすぎだが、少なくともチェーン店で提供されるものや、スーパーで買えるような惣菜なんかよりは美味しい。18のときに一人暮らしを始め、結婚する…

【読書日記】2023.5.20(土) 「沈黙」

悪とは何か。いまだかつてこの命題に対する確かな解を導き出せたものはいない。なぜなら悪とは相対的なものであって、一義的に定めるための方法を我々人類は知らないからだ。だからこそ、あらゆる芸術や哲学はこの問題に向き合ってきたし、これからも問い続…

【読書日記】2023.5.19(金) 「ハンティング・ナイフ」

村上春樹の書く太った女性は魅力的だ。『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』では主人公の導き手として冒頭から登場する。 扉の外には廊下があり、廊下には女が立っていた。太った若い女で、ピンクのスーツを着込み、ピンクのハイヒールをはいて…

【読書日記】2023.5.18(木) 『ここじゃない世界に行きたかった』

煎茶が好きだ。食事をしたあと、コーヒーを飲みたくなるその前にお茶を飲みたい。お茶を飲んで、コーヒーを飲んでとなると、淹れるのも時間かかるし忙しいし、お腹もちゃぽちゃぽだわ、トイレは近くなるわ、カフェインで眠れなくなるわで、なるべくW摂取は避…

【読書日記】2023.5.17(水) 『谷川俊太郎詩集』

「ちょっとこれ聞いてよ」夕ご飯の前に宿題をしていた息子が、算数のプリントを持ってきて言う。「たけしさんの身長の変化をグラフにしましょう」折れ線グラフをつくる問題らしい。1年生、126cm2年生、132cm3年生、140cm4年生、146cm5年生、158cm6年生、166c…

【読書日記】2023.5.16(火) 「レモネード」

電車に乗って街に出かけた。K氏と待ち合わせのカフェに行く。集合時刻の30分も前についてしまったので、カフェに併設の本屋(主従逆転かもしれない)で本を物色し一冊買う。カフェに先に入店して、迷った末アイスコーヒーを注文する。一番大きいサイズで400円…

【読書日記】2023.5.15(月)『センス・オブ・ワンダーを探して』

娘のおしゃべりが止まらない。一日中、なにかしゃべり続けている。家族の誰かに話しかけるか、そうでないときは一人でぶつぶつ言っている。AMラジオのようだ。ミュート機能はついていないけど。朝から晩までしゃべり続けて疲れはしないのだろうかと心配にな…

【読書日記】2023.5.14(日) 「神の子どもたちはみな踊る」

昨年の7月にジョギングを始めて、もう10カ月になろうとしている。3月に腰を痛めてしまい、この2カ月ほどは思うように走れなかったが、この頃やっと調子が戻ってきた。60分10kmのコースを、同じペースを意識して走る。どれだけ意識しても1km毎のラップタイム…

【読書日記】2023.5.13(土) 「嘔吐 1979」

彼は長い期間にわたって一日も欠かすことなく日記をつけることができるという稀有な能力を身につけた数少ない人間の一人だったので、自分の吐き気がいつ始まっていつ終わったかという正確な日付をきちんと引用することができた。彼の吐き気は1979年6月4日(…

【読書日記】2023.5.12(金) 「午後の最後の芝生」

昨日の日記で、人がなにかやっているところをただただぼーっとみているのが好きだと書いた。私の好きな短編「槍投げの青年」にも触れた。 そして今日、たまたま空いてる時間に、某団体が練習しているところを見学した。空は青く、緑は萌えて、風が気持ち良い…

【読書日記】2023.5.11(木) 『人質の朗読会』より「槍投げの青年」、『ごろごろ、神戸。』、足し算クロス

まだ客のいない早い時間にビールを飲み、黙々とこなされる仕込みの様子を見ているのが好きだった。 引用元:『ごろごろ、神戸。』(平民金子 著、ぴあ) 人が何かをやっているところは、一度見だすとずっとみてしまう。たとえばプロ野球の試合前の練習。たとえ…

【読書日記】2023.5.10(水) 最近、卵が高いですよね

最近、卵が高いですよね。というニュアンスを「で・ある調」や文語、書き言葉で出したいときにふさわしい文章がみつからない。 「最近、卵が高い」では、単なる事実または「私」の感想に過ぎず、同意を求めるニュアンスが出ない。 「最近、卵が高いね」だと…

【読書日記】2023.5.9(火) パスタの適量がわからない

数日前に予約本確保のメールが来ていたので、夕方、図書館に寄った。「本日は休館です」まさか火曜日が休館だなんて。ゴールデンウィークの代休ということらしい。まあそうだよな。仕方がないのでヤクルト飲んだ。ヤクルトは数多あるヤクルトもどきと全然違…

【読書日記】2023.5.8(月)『ひとりあそびの教科書』(宇野常寛)、後ろ向きにダッシュすること

雨が上がって月曜日。空晴れ渡って、風強い。パスタをゆでて、アルデンテ。かけたソースはボロネーゼ。サラダという名のレタス添え、ドレッシングはピエトロで。教科書みたいな七五調。七五七五七七五。雨雨権藤雨権藤。『ひとりあそびの教科書』とゆあーん …

【読書日記】2023.5.7(日) 『ちゃぶ台 9 2022春/夏号』

痛恨のミスに気がついたのは、ホームに停車していた電車に乗り込んだときだった。あっ!と思って電車を降りるか一瞬迷ったが、時すでに遅く、ドアは閉まり始めた。降りたところで結局は、どうしようもなかったのだから。空いていた席に座り、リュックの中身…

【読書日記】2023.5.6(土)『センス・オブ・ワンダーを探して』、『ホテル・アイリス』

一日中、雨が降っている。洗濯物が乾きそうにないので、コインランドリーに行くことにする。乾燥機で20分。待っているあいだに『ホテル・アイリス』の続きを読む。 読み進めるうちに、めっちゃええ声のおじさんは、ひと癖もふた癖もありそうなことが明らかに…

【読書日記】2023.5.5(金)『電車の中で本を読む』、無人島おはぎ問題

もしも無人島にひとつしかおはぎを持っていけないとしたら、どれを選ぶだろうか。今日はそんな問いから始めてみたい。 直感的に選択肢は2つまで絞られる。こしあんかきなこか。これが究極の選択でなければ、つまり今日これから食べるおはぎをひとつスーパー…

【読書日記】2023.5.4(木) 『怪談文芸ハンドブック』、餃子フェス

勝ち鬨あげろ。ゴールデンウィークになると頭の中に流れる音楽はなぜか「いざゆけ若鷹軍団」、ソフトバンクホークスの応援歌だ。ゴールデンウィークのイベントで博多どんたくが思い起こされ、その時期に開催されるホークスのホームゲームがどんたくシリーズ…

【読書日記】2023.5.3(水)『ホテル・アイリス』

小説を読むときに、よほど奇特な趣味の持ち主でもない限り、途中から読み始める人はいないだろう。最初の1行を読み、2行目を読み、3行、4行と読み進めていくことになる。読者を物語の世界へ没入させていくために、冒頭が果たす役割は大きい。ディヴィット・…

【読書日記】2023.5.2(火) ネギを刻む、あるいは本を読むこと

ネギが好きだ。特に青ネギがいい。ラーメン屋では、あればネギラーメンを注文するし、可能ならトッピングで増量する。丸亀製麺でもたっぷりのせたいところだが、会計時にこんもり盛られた丼を見られるのは少し後ろめたいので、ほどほどにしている。その点、…

【読書日記】2023.5.1(月) 映画『丘の上の本屋さん』、『電車のなかで本を読む』『静寂とは』

映画を観て、本屋に行って本を買い、本を読む。そんな一日だった。 毎月1日のファーストデイ、今日観たのはイタリア映画『丘の上の本屋さん』。予告編で気になっていたところ、5/4までの上映と知り慌てて観に行ったという次第である。本作はユニセフとの共同…