カフェオレの泡

浮かんでは消えていく泡のようなもの

2021-01-01から1年間の記事一覧

おでん

目が覚めると、おでんの中にいた。具材はまだない。だからおでんの出汁の中にいた、というのが正確なところか。まっさらなおでん、と言い換えることもできよう。白紙の状態。何を描いたっていい。昆布と鰹節の香り、そして無限の可能性。目の前に広がる自由…

笑っていいとも。村上春樹。

こんな夢を見た。 午前の業務を終え、昼食を取るために事務所の入っているビルを出た。 八月の陽射しはあまりにも容赦なく、道行くすべての人がラクダに見える。 僕はオアシスを求めるかのようにオフィス街をさまよい歩き、目に留まった大衆食堂に入った。 1…

生そうめん

百貨店の9階、催事場の片隅に僕は立っている。なぜそこにいたのかはわからない。隣にはもうすぐ5歳になる二番目の息子がいて、彼も僕同様に自分がなぜここにいるのか、その意味を見出せずにいるようだ。百貨店を訪れることが決して珍しいわけではない。目的…

成り行きで

昨今、何かにつけ、ものごとを確定させないといけないような感じがして、ちょっと窮屈だなぁと思う。携帯電話の登場以来、メールに始まり、LINEやメッセージ、チャットなどのコミュニケーションツールを使うようになって、誰かと会うときには、約束をするの…

パイナップル、マンゴー、パイナップル。SOLASIS Japanを応援する散文

今ぼくの目の前に広がっているのはアフリカの大地。 遥か遠くに見える地平線には、今まさに陽が沈もうとしている。オレンジ色の空をバックにした野生動物のシルエットは、愛を確かめ合う恋人同士のようだ。耳をすませばキリンだろうか、ライオンだろうか、動…

ワーママはるは救世主か? ~『やめる時間術』レビューあるいは書評のような文章~

以下の文章はワーママはるさんの著書『やめる時間術』を読み、かねてより僕が抱いていた仮説を検証する過程を記したものである。(敬称は略して表記することをご容赦いただきたい。) その仮説(問い)とは何か。 「ワーママはるはワーキングマザーの救世主か…

四角いものに魅せられて

四角いものが好きだ。 もっと言うと、 ・四角くて ・直線的で ・装飾の少ないもの 気が付くとそんな四角いものばかり買ってしまう。 曲線美より直線美。シュッとした直線と、カクっとしたところに潔さを感じる。見渡せば僕のまわりは同じようなデザインのも…

あやてぃライフを聴きながら

最近、秘かに楽しみにしている音声配信がある。 「あやてぃライフ」。 都内在住のワーママ、あやてぃさんが日々の生活の中での気付きや学びをstand.fmで配信している音声コンテンツ、それが「あやてぃライフ」だ。 今日はこのコンテンツのどこに魅かれている…

2021年 買って良かったもの

今年も残すところ347日。今日は2021年を振り返って、今年買って良かったものについて書こうと思う。 電子辞書である。 今年は今まで以上に「言葉」を意識した年にしたい。そんな思いから電子辞書を買うことにした。どうせ買うならということで、CASIOから発…

672年 天下取るむねに 壬申の乱

「672年 天下取るむねに 壬申の乱」 映画『ぼくらの七日間戦争』で、佐野史郎演じる教師が歴史の授業中に、板書をしながら言う台詞である。もちろん年号を覚えるための語呂合わせだ。 『ぼくらの七日間戦争』(ぼくらのなのかかんせんそう)は、1985年4月に…

お年玉を握りしめ

「お年玉でニンテンドーラボを買う」そう高らかに宣言したのは小1の長男だ。 ニンテンドーラボは、任天堂より発売されているNintendo Switch用のソフトだ。段ボール製のペーパークラフトとセットになっていて、Switchの本体やコントローラーを組み合わせて遊…

心にうつりゆくよしなしごとは端に寄せるに限る

インターネットで、とある書き込みを見た。それは琵琶湖の大きさを表現したものだった。琵琶湖と言えば、滋賀県の面積の1/6を占める日本一の湖。滋賀県のど真ん中に位置するその湖は、滋賀県そして滋賀の県民にとってはアイデンティティと言っても過言ではな…

勝手に叫んでろ

「あなたがいて、わたしがいる」 これが僕の考える多様性の定義だ。 「多様性」という言葉を目にする時、国籍がどうとか(人種)、女性だからどうとか男性だからどうとか(性別)、高齢者がどうとか若者がどうとか(年齢)、価値観がどうとか思想がどうとか…

雪苺娘 甘く淡く 粉雪のように

おまんじゅうのようにぽてっとしたドーム型の柔らかいフォルム。外側を覆うもちもちの求肥には、粉雪のようなさらさらのパウダーがかかっている。中にはたっぷりのホイップクリームと薄いスポンジケーキ。その中心には程よい大きさのイチゴが丸ごと1つ。 雪…

雪の降る日に

数年に一度の寒波が来ているようだ。雪が振り始めた空を見上げながら、僕はあの日のことを思い出す。 今から6年前の年の初めのことだ。「数年に一度」の数年前にあたる年かもしれない。 年末年始は妻の実家で過ごすことが慣例となっていて、その年も妻の実家…

嫌われる春樹

村上春樹が好きだ。 村上春樹について語りたいと思う。と言っても僕の拙い文章では、その魅力を充分にお伝え出来そうにないので、今回は対話形式の物語を用意した。タイトルをみてわかると思うが『嫌われる勇気』のパロディだ。 悩める青年「僕」が哲人春樹…

趣味としての読書②

趣味としての読書について書いた昨日の記事の続き。 複数同時並行読みによる読書を趣味としているわけだが、本の読み方についてもう少し具体的に述べてみよう。 本の読み方は基本的に次の4ステップに沿って進められる。 ①見る ②読む ③抜き出す ④しまう 文芸…

趣味としての読書①

趣味は読書だ。 そう言うと、どういうわけか趣味がない人として認定される。あるいは変わり者として。 人はなぜ読書を趣味として扱ってくれないのか。おそらくは、特にこれといった趣味のない人が、無難な趣味として挙げることが多いためじゃないかと推測し…

ちからいっぱい どりょくをしましょう

初詣に行ってきた。 僕は初詣が好きだ。何が好きかと言えば、おみくじである。大吉を引いた時の嬉しさは何物にも代えがたい。心の内側からじんわりと湧き上がってくる喜び ―大吉感とでも言おうか― は、僕を幸せにしてくれる。 自分で大吉を引かなくても、同…

コーヒーも人間も

コーヒーが好きだ。 コーヒーの世界も奥深いもので、美味しく淹れるにはそれなりの技術を要求される。ハンドドリップも単純そうに見えるが、なにぶん変数が多いので味もなかなか定まらないところが、難しさであり面白さでもある。 美味しい一杯を淹れるため…

年も明けたしコーヒーでも淹れよう

早いもので、このブログを始動して1年が経過した。と言っても、昨年書いた記事は3つだけ。1シーズンに1記事の季刊誌的なブログを目指していたのだけれど、目標である4記事目は書かれることなく、一年を終えることとなった。ある程度まとまった分量の文章を、…