カフェオレの泡

浮かんでは消えていく泡のようなもの

【読書日記】2023.5.23(火) セブンティーンアイス、タンクトップの男

10年前の今日、長男が生まれた。
天気が良く、とても暑い日だった。
私は会社に出勤し、妻は産婦人科に定期検診へ行った。
午前中、妻から連絡がある。
今日、生まれるかもしれないけど、まだ時間はかかりそうなので一旦家に帰ると。
暑い中歩いた妻は、その日冷やし中華を食べたらしい。
私、いまごろ冷やし中華食べてたんやなあ。暑かったんやなあと言っていた。

夕方、終業時間の少し前に電話があり、いよいよだということになった。
急いで帰宅し、妻を車に乗せて産婦人科へ向かった。
妻の意向で立ち合い出産はせず、私は入院の個室で待つことになった。
しばらくして部屋の内線チャイムがポーンと鳴り、「産まれましたよー」と看護師さんが伝えてくれた。
産まれたばかりの赤ん坊を抱いた。
赤ちゃんってこんなに軽いのかと思った。

10年経った今日、長男を抱きかかえてみた。
とてもじゃないが抱っこなんてできないその重みに、10年の月日を実感した。

数日前に誕生日のケーキの希望を聞いたら、セブンティーンアイスだと言ってきた。
サーティーワンのアイスケーキのことでも言っているのかと思ったが、セブンティーンアイスで間違いないそうだ。
なんて安上がりなんだ。

夕食は、これまた長男の希望でくら寿司になった。
びっくらぽんをひとつゲットして上機嫌の次男が、妻にこんなことを言っていた。
「この前さあ、俺とお父とS(長男)の三人でお風呂に行ったときあったじゃん? あのとき雨が降ってたんだけどさ、どしゃ降りの雨の中を自転車で走ってる人がいて、その人がなんとタンクトップだったんよ」と。
確かにあの日、自転車をこぐタンクトップの男と雨の中、すれちがった。
その光景を思い出して、なんか笑けてきた。
みんなで笑った。

寿司を食べ終えると、ショッピングモールに移動してセブンティーンアイスを食べた。
長男はみんなでセブンティーンアイスを食べたかったそうだ。
フードコートでアイスを食べながら長男は「セブンティーンアイスを食べるのは、年末、お父さんと奈良に行って以来だ」と言っていた。
どうやら彼にとって、セブンティーンアイスは特別なものらしい。
どこに価値が宿るかなんてわからないものだということを、教えてもらった気がした。

子どもたちが寝たあと、妻とふたり静かに祝杯をあげた。