カフェオレの泡

浮かんでは消えていく泡のようなもの

【読書日記】2023.5.1(月) 映画『丘の上の本屋さん』、『電車のなかで本を読む』『静寂とは』


f:id:cafeaulait-ice:20230502072718j:image
映画を観て、本屋に行って本を買い、本を読む。
そんな一日だった。

毎月1日のファーストデイ、今日観たのはイタリア映画『丘の上の本屋さん』。
予告編で気になっていたところ、5/4までの上映と知り慌てて観に行ったという次第である。
本作はユニセフとの共同製作ということもあり、自由や人権がひとつの主題となっている作品だ。
イタリアの風光明媚な丘陵地帯を見下ろす、丘の上の小さな古書店が舞台となる。
石畳が敷かれた風情のある街並みは、みているだけで心が浄化されるような気がしてくる。
主人公の店主と、古書店に集まってくる個性豊かな人々との交流を通して、本を読むことの素晴らしさを教えてくれる映画だった。
観ているそばから本屋に行きたくなるし、本を読みたくなる。
実際、私は鑑賞後、昼食を摂るはずの予定を変更し、本屋に行くことになった。
私が単純すぎるのか、これが作品の力なのか、いやあ映画って本当にいいもんですね。

ストーリーは、店主のリベロブルキナファソからの移民の少年エシエンとの交流を中心に進んでいく。
ある日、店先でコミック本を眺めていたエシエンにリベロが声をかけると、本を買うお金がないと言う。
だったらと、リベロは「読んだら返してくれればいい」と言って、一冊貸し出すことにする。
翌日返しに来たエシエンにまた別のコミックを貸と、またすぐに帰しに来る。
エシエンのことを気に入ったリベロは「マンガはもう卒業だ」と言って、それからは児童文学から中編、長編と次々貸していく。
読み終えた本の感想を聞き、別の見方や考え方を提示しながら交流を深めていく。
ある日、リベロはエシエンに問いかける。
人生で一番大事なものはなんだと思うかと。
それは幸せになる権利なんだと伝える。
物語というのは奥が深く、最初に考えたことが全てではない、読むことでじっくり考えることができるのが本なんだと教える。
『ニューシネマ・パラダイス』を想起する老人と少年の友人に、胸の奥がじんわりと温かくなる。
同時にうらやましくも思う。
自分にもこんな店主のような

という映画を観た後に、本屋に行かない理由があろうか。いやない。
反語を使うまでもなく、本屋へと向かっていた。
できるだけ小さな本屋がいい。
大手資本ではない、独立系の小さな書店に。
店主がひとりでやっている書店に行き、二冊購入した。

どこかでみつけたら買おうと思っていた『電車の中で本を読む』と、たまたま目に入った『静寂とは』を厳選してこの2冊にした。
他にもほしいものはたくさんあったけれど、キリがないのでここでは厳選して2冊程度にとどめている。
そして、ああ、あれも買っておけばよかったなと思うのがいつものパターンで、それは次に行く動機にもなる。

映画館と本屋に行けていい一日だった。
静かな場所は、それだけで価値がある。
買ってきた本を本棚に並べ、白い表紙を眺めながらながらぼんやりと思う。


f:id:cafeaulait-ice:20230502072728j:image