カフェオレの泡

浮かんでは消えていく泡のようなもの

【読書日記】2023.9.8(金) 「This Time Tomorrow」

乗代雄介『掠れうる星たちの実験』の「This Time Tomorrow」を読む。
高校生の主人公は、下校時に最寄りの駅が同じ学校の生徒でごったがえすのが嫌で自転車通学をし始める。
遠方に住む生徒の自転車通学は禁止されていたので、一つ手前の駅の路地裏に置いて登校する方法を実行する。
しかし自転車はあっという間に盗まれてしまう。
困っているところへ若いサラリーマンが現れる。
サラリーマンも同じように路上に駐輪しているいわば同志のようなものだ。
主人公が自転車を盗まれたことを知ったサラリーマンは、主人公に自分の自転車を貸してくれるようになる。
使う時間帯が違うので、うまいことシェアできるという寸法だ。

朝、彼が自転車を停めて電車で仕事へ行く。自分がそれに乗って学校へ行き、帰りに元の場所に駐めておく。夜中か知らないがとりあえずその後、仕事を終えた彼が家まで乗って帰る。防犯登録シールが貼られていたけれど、それもやがて剝がされていることに気付いた。おそらく自転車を貸した高校生が警察にとめられないようするために。

引用:乗代雄介「This Time Tomorrow」

このエピソードを読んだとき、小学生の頃のことを思い出した。
小学校2年生くらいの頃だったと思う。
自転車が盗まれた。
はじめてのことだったので、ショックだった。
自転車がないのでしばらくは歩いて移動していた。
自転車が盗まれて、1週間くらい経った頃だろうか。
道を歩いていると、前から自転車に乗ってこちらに向かってくる上級生がいた。
名前は知らないが、顔は知っている一学年上の上級生だった。
その上級生が乗っている自転車は私のものだった。
すれ違いざま、「おい、それ俺のやんけ、返せや」と言ってみた。
ごねようものなら、暴力を行使するつもりだった。
小学2年の割に血気盛んであったし、その割には冷静だった。
相手もたぶんビビったのだろう。
「あ、あ、」とか言いながら返してくれた。
もう二度とこんなことをしないように、「汚れとるやんけ、クソが!ぶっ〇すぞ」と言って最後にもう一度ビビらせておいた。
無事に帰ってきてよかった。
幸いにもあれ以来、自転車を盗まれたことはない。


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