カフェオレの泡

浮かんでは消えていく泡のようなもの

【読書日記】2023.7.1(土) 『正しいコピペのすすめ』

プルーストの『失われた時を求めて』で、主人公が紅茶に浸したマドレーヌを口にした瞬間に過去の記憶が鮮やかに甦ってくるシーンはあまりにも有名だ。
有名であるがゆえに、よく引き合いに出されるし、しったかぶりもよく行われる。
なぜしったかぶりかというと、おそらくほとんどの人は『失われた時を求めて』を読んだことがないと思われるからだ。
なんせ長い。
岩波文庫版で14巻。
私はこれを読んだことある人にリアルで出会ったことは一度もない。
かくいう私も未読だ。
いつかは読みたいと思っている。
そして今日、読んでいた本の中に『失われた時を求めて』に言及されている部分があり、長年勘違いしていたことに気がつき驚いた。
私は『失われた時を求めて』の主人公はずっと女性だと思っていた。
紅茶とマドレーヌという組み合わせに、いかにも女性的なものを感じ取り、勝手にそう思い込んでいたのだ。
そこには私の少なからずの偏見も含まれるだろう。
恥をかく前に気がついて良かった。

今日はめずらしく、次男が本屋に行きたいと言ってきた。
次男と娘と三人で本屋に行き、おのおの1冊ずつ本を購入する。
私は乗代雄介『それは誠』。
次男はマインクラフトの雑誌みたいなやつ。
長女は『しろくまちゃんのほっとけーき』を選んだ。
帰りにコンビニでお菓子も買って帰宅する。

午後になると数日続いた雨は上がり、子どもたちもやっと外で遊べるようになり、家の中の平和は保たれた。

3~4年、積みっぱなしになっていた『正しいコピペのすすめ』を読んでみることにした。
どこかのタイミングで手にしなければ、きっとこの本は私の家で日の目を見ることはなかっただろう。
きっかけとか理由は特にない。
強いて言うなら雨が上がったからだろうか。
雨上がりの午後、私は救済に乗り出したというわけだ。

若人向けのレーベル岩波ジュニア新書らしく、著作権とはなんたるかについてわかりやすく解説したものだ。
へー、へー、なるほどと思いながら読み進めるうちに、意外なことを知った。
料理のレシピに著作権はないらしい。
へー。

料理の作り方の手順を示すレシピに著作権はありません。まず、「にんじん1個」「牛肉100グラム」「塩、こしょう適量」などはデータに過ぎません。次に、「タマネギをみじん切りに」「タマネギが柔らかくなったら、中火で炒める」「お好みでパセリを乗せる」などの記述はありふれた表現です。いずれも著作権が保護する要件を満たしていません。

宮武久佳『正しいコピペのすすめ』(岩波書店)

へー。
著作権法によると、著作物は「思想または感情」を「創作的に表現」したものであって「文芸、学術、美術または音楽の範囲に属するもの」と規定しているそうだ。
そして、「アイディアを保護しない」というのも著作権法上の重要な原則らしい。
レシピを見て料理を作ったんだから金払えというのも変な話なので、確かにそういわれればそうだなとも思う。
一方で、じゃあ著作権はないからと、誰かの公開しているレシピをそのまま自分のアイディアとして使ってたら、「パクるな」と怒られそうな気もするがどうなんだろうか。


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