複数の本を同時に読んでいると、ときどき、数冊同時に読み終えることがある。
そこで得られるのはポリリズム的快感だ。
ポリリズム。
すなわち、複数の異なるリズムが同時に進行することで独特のグルーヴを生み出す。
まさか読書にも起こり得るとは知らなかった。
今日はここ数日、ものによっては数カ月にわたって読んでいた本を何冊か同時に読み終えたので列記していく。
『とりあえずお湯わかせ』柚木麻子
エッセイ。
はじめての育児とコロナ禍で直面した問題や日常を綴ったエッセイ。
ここ数年でジェンダー問題やフェミニズム的なものを扱った小説の読まれ方が変わってきたというところが印象的であった。
ちょっと前のめりな筆の運びは、6/8拍子といったところか。
『幸福は絶望とともにある。』曽野綾子
2001年発売されたエッセイの再装版。
歯に衣着せぬ物言いが痛快。
スタッカート多め。
『物語の作り方』ガルシア・マルケス
マジックリアリズムの巨匠ガルシアマルケスと脚本家たちが、TVドラマのストーリーを寄ってたかって考える様子を文字起こししたもの。
ときおり現れるガルシアマルケスの鋭い視点が面白い。
全体的にスウィングしている。
『ジブリの仲間たち』鈴木敏夫
ジブリ映画ヒットの理由を、プロデューサー鈴木敏夫が宣伝という観点から振り返る。
宮崎駿、高畑勲、鈴木敏夫、三者三様の考え方があり、誰が欠けても今日のジブリはないんだなと再認識。
ワルツのよう。
『虞美人草』夏目漱石
登場人物それぞれの思惑と、揺れ動く心理が交差する。
不揃いなオーケストラ。
『ハイネ詩集』ハイネ
写実的かつロマンチック。
ピアノコンツェルト。
音楽と文学はよく似ている。