カフェオレの泡

浮かんでは消えていく泡のようなもの

【読書日記】2023.4.10(月) 入園式とデイヴィット・ヒューム


娘の幼稚園の入園式だった。
3月生まれの娘は3歳になったばかりで年少となる。
もともと小柄だし、3月生まれということもあって、他の子と比べてみても小さい。
服装に対する変なこだわりもある。
こだわりというよりもNGが多い。

娘が通う幼稚園に制服はない。
そのため入園式や卒園式はみんなフォーマルな装いでやってくる。
娘にとってフォーマルはNGの対象だ。
入園式に着ていく服がない。
西松屋でフォーマルっぽい服を購入し当日お願いして着てもらおうと試みたものの、嫌だの1点張りで泣き出す始末だ。
GUで買ったお気に入りのドラミちゃんのTシャツを着ていくと言う。
まあそれでもいいのだけれど、何度かの問答の末、カジュアルだけどシンプルな青いストライプのワンピースに落ち着いた。
夏のお嬢さんといった風情だ。

 

入園式でカジュアルな服装だったのは娘だけだった。
教室で集合写真を撮ったらしいが、ど真ん中に陣取ったそうだ。
写真撮影終了後、先生からの保護者へのお話の時間があった。
保護者一人だけ教室に残り、園児ともう一人の保護者は園庭で遊びながら待つ時間になった。
遊具を中心にみんな楽しそうに遊んでいた。
娘も楽しそうに走り回っている。
入園式なので必要のなかった、クラスカラーの黄色い帽子をかぶった私服の娘は、遠くからみてもたいそう目立っていた。
入園式の服装なんてそのときだけのものだし、それよりも娘が幼稚園に楽しく通ってくれることの方が重要なのだから、結局これでよかったのだ。
すべり台をすべる娘をみてそう思った。

 

岩波文庫から出ている『一日一文』という本がある。
古今東西の偉人の言葉を一日一ページでひとつずつ紹介する格言集のようなものだ。

4月10日は哲学者ヒュームの『道徳原理の研究』からの一節だった。
紹介されているのはもう少し長いが、都合のいいように抜き出してみる。
この本の性格上、そういう使い方を期待されているはずだ。

好み(テイスト)こそ、快と苦をもたらして、そこから幸福と不幸を産みだすがゆえに、行動の動機へと生成するものである。好みこそが、欲望と意志との第一のバネ、第一の衝動である。

私はこれを娘へのエールと受け取ることにした。
好みのままいけよと。
第一の衝動に従って、幼稚園生活を満喫してほしい。