カフェオレの泡

浮かんでは消えていく泡のようなもの

【読書日記】2023.10.30(月) 『palmstories あなた』

小学校が代休だったので、幼稚園に通う娘以外の4人が家にいるという超超超珍しい状況になった。
娘が生まれて以来、初めてのケースかもしれない。
それでくら寿司に行くことにした。
家にいるあいだ、くら寿司までの道中、食事の最中、帰り道、買い物、そしてまた家で過ごす時間。
3歳児がいないだけで、なんとスムーズなことか。
超イージーモードの一日だったと言えよう。

そんなイージーな日には、骨太の本をしっかり読める気もするが、そこはスタンス的にも気楽に行こうと手軽そうなものを選ぶ。
『palmstories あなた』。
5人の作家によるアンソロジー
帯文には《「あなた」と「きみ」をめぐる5つの”てのひら“の小説たち》とある。
「あなたときみをめぐる」だけあって、今日読んだ二編はどちらも二人称で書かれている。

いきなり正直に言うけれども、この土地に引っ越してきて、最初にあなたを訪ねた時は、小綺麗だけれどもなんだか焦点の合わない売場だなと思った。

津村記久子「六階を見習って」

ここでの「あなた」は語り手「私」の住む街にある商業施設六階の生活雑貨売り場のことだ。
閉店が決まった六階の売場と、そこで何度も困った時に助けられた「私」の関係性が、淡々と、かつユーモラスに語られる。
私はこれを読んで、地元のスーパーの二階を思い出した。
少し前に帰省した際、そのスーパーがあった場所を通ったのだけれど、更地になっていて、少し寂しかった。
これを書いている今も少し寂しくなってきた。


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