カフェオレの泡

浮かんでは消えていく泡のようなもの

【読書日記】2023.8.11(金) 「曲った背中」吉行淳之介

今日が金曜日だってことに気付いていた人がどれくらいいるだろうか。
私はタイトルの(金)を書く段になってやっと気づいた。
海の日、プールに行く。
流れるプールをぐるぐる回り、50メートルプールで適当に泳ぎ、また流れるプールでぐるぐる回る。
あいまにソフトクリームを食べる。
今年は飲食ショップが再開してるのでレジャー感が増している。
プールのすぐ外には建設中のサッカースタジアムが、どどんとそびえたっている。
イカのボールのロングセラーっぷりに驚く。

夕食にそぼろごはんを作る。
近所のスーパーにはモモ挽き肉があまり売っていないので、モモとムネを混ぜて作ることが多い。
しかし今日は妻が別のスーパーでモモ挽き肉を買ってきてくれたので、モモだけの鶏そぼろを作ることが出来た。
やはりモモで作る方がつやつやのパラパラになり、美味しくできるのだ。

食後に本を読む。
吉行淳之介「曲った背中」。
戦争が終わって5年目、あちこちに残っている空地にマーケットと呼ばれる木造の長屋で安酒を飲ませる店に通う男がこの話の主人公だ。
主人公の「私」が通うその店には、しばしば一緒になる私と年齢の近い常連客の男がいた。
男は陰気でほとんど口をきくことがなく、何杯かの焼酎を時間をかけて飲むと黙って帰ってゆく。
ある夜、酩酊した私はその店にいる男をみつけ、曲がっている背中をさして「ヘミングウェイの殺人者の背中のようだ」と言い、男の隣に座る。
今まで誰が話しかけてもろくに返事もしなかった男がその言葉に反応たので、私は驚く。
ヘミングウェイの背中という言葉の意味が気になり、私に問うてくるも、私はただ出鱈目に言っただけなので困りながらも適当に話をする。
すると男が店を出て飲み直そうと、私を自分のアパートに招く。
アパートには男の母親と思われる女性がいて、酒を運んできてくれる。
二人はしばらく酒場の話の続きをして、男がなぜ自分をアパートに誘ったのかよくわからないまま私は帰宅する。
それからしばらくして、また酒場で男と一緒になった。
男はまた、別のところで飲もうと私を誘い出す。
そして私にちょっとした打ち明け話をする。
このような筋立ての短い話だ。
家にいた女が妻であることが明らかになり、私は驚いてしまう。
母親と予想していたくらいなので、相当に年が離れているものと思っていたからだ。
年は3つしか離れていないことが判明し、ふたりの過去に何があったのかが語られる。
戦争というものが落とす暗い影を思い、なんとも言えない気持ちになる。

消化しきれないものを抱えたまま、ジョギングに行く。
いつものコースを走る。
昼間に泳いで、夜走る。
健康的な夏を過ごしている。


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