カフェオレの泡

浮かんでは消えていく泡のようなもの

【読書日記】2023.6.26(月) 続・ボロネーゼ

フライパンにオリーブオイル、玉ねぎ、にんじん、セロリを入れて、弱火で焦がさないように野菜の甘みが出るまで10分ほど炒め、いったんボウルに取り出す。
次に、大きめのフライパンを中火で温め、ひき肉を広げる。
塩を全体に振って、焼き色がつくまで焼く。
ほぐしながら炒めたら、赤ワインを加え混ぜ合わせる。
ホールトマトとさっき炒めた野菜を加え、軽く沸騰させる。
塩、こしょうを加え、軽く煮立つ程度の弱火で煮詰め水分を飛ばす。

さて何ができたでしょうか?
正解はボロネーゼ。

昨日の昼、ボロネーゼを食べたことを忘れて、今日ボロネーゼを作ってしまった。
すべての工程が終わったころ、昨日のボロネーゼのことを思い出した。
忘れていたのも無理はない。
昨日食べたのは壺焼きパスタのボロネーゼという一風変わった料理だったのだから。
壺焼きパスタというネーミングにそそられて注文したそのボロネーゼは、グラタン皿に盛られて出てきた。
パスタの上にはチーズがのせられ、オーブンで焼かれていた。
味もパスタなのか、グラタンなのか、ドリアなのか、ラザニアなのか、そのどれにも似た味だった。
美味しかったので文句はない。
ちなみに言うと、ラザニアとドリアは私の好物だ。
もうひとつちなみに言うと、「ラザニア」とタイプしようとして、三回続けて「ラ座には」となってしまった。
私の無意識が「h」を押していたようだ。
私の記憶を探ってみると、ラザニアを初めて食べたのは確か小学生の頃だ。
福岡に大濠ボウルという有名なボウリング場があった。
そこに併設のレストランでラザニアを食べた時の衝撃は忘れられない。
この世にはこんなおいしいものがあったのかと。
ラザニアのおかげで、その日の私のボウリングのスコアは快調だった。
知らんけど。
以来私はラザニアを見つけると食べてみるが、ファーストインパクトにはかなわない。
思い出補正が効きまくっていることは否めないが。
そういう類のものは他にもある。
あの店で食べた豚の生姜焼きや、あの喫茶店で食べたカレーとか。
今ではもうどこなのかも忘れてしまって、二度と出会うことはないのかもしれない。
理想の味だけがこびりついて、ただただ幻影を追い求めているとき、人間の愚かさを知る。
パスタを茹でながらこんなことを思っているうちに、茹で時間を超過しそうになった。
ボロネーゼはいつもの倍の量を作ったので、まだ大量に残っている。