カフェオレの泡

浮かんでは消えていく泡のようなもの

【読書日記】2023.12.11(月) 詠む。読む。

今日は店をはじめてから初めて雨が降った。
さすがに雨の平日は来客が少なかったものの、それでも本を買ってくださった方もいたのでうれしい。うれしすぎる。

そして今日は市内の本屋READAN DEATさんで開催されるイベントに参加するため、営業時間を少しだけ短縮し、そそくさと店をあとにした。
広島出身の歌人東直子さんの新刊刊行記念のトークイベントだ。
このイベントの告知をみつけたとき、すぐに参加したいと思った。
しかし、同業者に参加されるのも嫌がられてしまう可能性もあるかなと躊躇していた。
先日、ちょっと教えてほしいことがあってREADAN DEATさんに電話をした際、ついでにイベントに参加しても良いか伺ってみたところ、快諾くださったのですぐに申し込みフォームから申し込んだ。
事前に設定されたお題の短歌を応募すると東さんに選評してもらえるという企画もあったので、渾身の歌を送信した。
それも含めて楽しみなイベントだった。
会場につくと、会場はほぼほぼ満席の状態だった。
募集人数40人という枠はすべて埋まってたのだろう。
すごい。
ちょうど空いていた末席に座り、イベントの開始を待った。
細かい事情はわからないが、タウン誌との共同イベントのようで、運営スタッフの人数も多く、地元のメディアも入る盛況ぶりに驚くばかりだった。
会自体は司会者の方が東さんに質問をする形式で進行し、広島にまつわる話、短歌のこと、新刊のことと話が展開し、穏やかな時間が流れていた。
ほどよいタイミングで、募集した短歌の選評コーナーが始まる。
応募のあった短歌、一首一首を東さんがコメントを加えながら読解するというものだ。
どの短歌も個性にあふれていて、世界のきらめきを感じた。
いろいろなことが毎日のように起こるけど、まだまだ捨てたもんじゃねーぜ。
自分が送った短歌についてもコメントしてもらった。
こちらの意図したことまで、丁寧に読み取ってくださって、もう何もいうことはなかった。
心の糧がいくつも増えたような気分だ。

もうひとつ印象的なエピソードを紹介したい。
すべての選評が終わり、回は最後の質問コーナーへと進んだ。
最初に挙手して質問したのは高校生の文学少女だった。
自分よりはるかに年上の大人が40人以上もいて、メディアも入っているようなあの状況で、いのいちばんに手を挙げて質問するその姿は、街中を彩るイルミネーションなんかよりもずっと輝いていたし眩しかった。
捨てたもんじゃねーぜと、また思うのであった。
少女はどうやら自分でも創作活動をしているらしい。
いつかあの子の書いた物語を読んでみたいと思った。
彼女が私の店を見つけてくれるその日まで、楽しみにしている。

唯一心残りだったのは、最後、店主にお礼を言えなかったことだ。
姿が見当たらなかったので、挨拶もできぬまま帰ってきた。
だが、懐の深い店主のことだ。
逆に気にしてくれているかもしれないなと思いながら電車に乗った。
また明日お礼のメールを送ろう。
短歌を送った時のように、渾身のメールを。