カフェオレの泡

浮かんでは消えていく泡のようなもの

【読書日記】2023.7.14(金) 読書会

読書会に参加してきた。
今回の課題本はブッツァーティ著『タタール人の砂漠』(岩波文庫)。
参加者は私含め6名に主催者の計7名と、ゲストに岩波書店の編集者の方を交えての会となった。
年齢層もおそらく職業もいい感じのバラツキ具合だったと思う。
隣に座っていたおばあちゃんは、課題本を途中までしか読めなかったという。
「イタリア人ってこんな考え方をするんじゃな、よくわからんかったわ」と。
一応、参加の条件は課題本を通読となっていたが、個人的には、これはこれでよいと思っている。
読んでいないせいもあってか発言の機会は少なかったが、自分の人生に照らし合わせぽつぽつ喋る内容は面白かった。
会の最後に述べた感想も「やっぱりよくわからなかった」だった。
確かにそうだ。
よくわからない。
タタール人の砂漠』では、終始何も起こらない砦での任務のなかで、主人公がかすかな希望を頼りに過ぎていく時間が描かれる。
読者は主人公の中に自分を見出し、人生の意味について考えることになる。
そういう意味では、おばあちゃんの「よくわからない」発言はなんだか不思議な説得力を持っているようにも思えてくる。


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