カフェオレの泡

浮かんでは消えていく泡のようなもの

【非読書日記】2023.8.9(水) パンを分け合う

友人(そう呼んで差し支えないだろう)のM氏が広島に来るということで、ささやかな会合が開かれることになった。
M氏と発起人のK氏、私の三人でランチを共にした。
集合したのは某パン屋の本店。
旧帝国銀行の跡地に建てられた同店は、迫力のある荘厳さと軽やかなモダンさが融合したような佇まいだ。
外壁と窓枠の一部は、被爆建物でもある旧帝国銀行時代のものがそのまま再利用されているらしい。
二階のレストランに、開店と同時に入店する。
広々とした開放的な空間で、小洒落た料理を注文する。
私がマカロニグラタン、K氏が冷製パスタを選び、M氏は8種のアラカルトから二品をチョイスするプレートを選んだ。
M氏は一品目にマグロと海老のサラダを選択し、二品目を迷っていた。
K氏と私が固唾を飲んで見守るなか、「決めた!もうこれしかないやろ!キッシュや!!」とフロア中にM氏の関西弁が響き渡った。
「そうね!!」と呼応するK氏。
映画のワンシーンを見ているようだった。

真の人間性に最もよく調和する愉しみは、よき仲間との愉しい食事である。

出典:『人間学』エマニエル・カント

私たちは今日、カントが説いたような時間を過ごした。
食べて飲んで笑うことが、明日の活力になることを体感した。
私たちはパンを分け合う仲間だと、そう思えた。
K氏の冷製パスタは見たこともないくらい細くて、そうめんみたいだと思った。
パスタを巻くK氏の手は美しかった。
未来は僕らの手の中。
そう誓い合った。

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記念に店の前で写真を撮った。
通りすがりのマダムにシャッターをお願いした。
マダムはこれ以上にないカメラマンだった。f:id:cafeaulait-ice:20230810003805j:image

K氏が帰ったあと、M氏と広島の街を歩いた。
原爆ドームをみて、平和を祈った。
今日はナガサキの日でもあった。
空は青く、吹き抜ける風は少し強かった。

原爆ドームの横を流れる川のほとりにイタリアンカフェがある。
人々の憩いの場所であり、交流の場所でもあるオープンカフェだ。
テントの下には山積みのオレンジ。
立ち寄る理由はそれだけで充分だった。
M氏はオレンジジュースをおごってくれた。
新鮮な搾りたてのジュースを飲みながらとりとめもなくしゃべった。

“好きに。自由に。思いのままに。

可能性を感じて欲しい。“

 

大人になると難しく感じることも、やってみるとそんなに難しくないかもしれない。このネックレスは、好きに。自由に。思いのままに。

出典:michi willway 公式サイト

M氏の思いを乗せたネックレスが、M氏の胸元で輝いていた。

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