カフェオレの泡

浮かんでは消えていく泡のようなもの

【読書日記】2023.4.3(月) あんぱん

4月4日はあんぱんの日らしい。



明治維新により失業した武士、木村安兵衛が日本にパン文化を広める為、あんぱんを発明。

一八七五年四月四日に明治天皇にあんぱんを献上した日にちなんで「あんぱんの日」が誕生した

 

明治天皇隅田川の花見で、旧水戸藩下屋敷を訪問した際に、木村屋のあんぱんが茶菓子として献上されて以降、宮中御用達となったそうだ。
あんぱんといえば木村屋、木村屋といえばあんぱんだが、なにごとにも相応の理由があるものだ。

 

ところで、近所にときどき行くセブンイレブンがある。
うちから4番目に近いコンビニなので、そんなに頻繁に行くわけではない。
行く頻度は少ないが、車で出かけるときによく前を通過する。
そしてときどき立ち寄る。
ときどき行く、と呼ぶのにふさわしいコンビニだ。


いたって普通のセブンイレブンだが、ひとつ特徴がある。
セブンイレブンではよくフェアが開催されている。
新発売のカレーパンだったり、恵方巻など季節商品だったり、いわゆるノルマみたいなものがありそうなフェアだ。
ここでは、店舗の内外に大きく張り紙を掲げている。

「○○フェアの売上実績全国1位を獲得しました!」

一度や二度ならず、何度も全国1位を獲得している常連のようだ。
信じがたいのだ。
郊外の住宅街の近くにある、主な客層は近隣の住民であろうコンビニだ。
都会みたいに人通りが激しいわけでもないそんな店で、フェアの実績が全国一、しかも何度も。
どんな秘密があるのかとかねがね思っていた。

そして今日、たまたま都合が良かったのでそのセブンイレブンに立ち寄った。
目当てのものを持ちレジに並ぶ。
自分の番となり、いくつかあった商品のレジ打ちが終わりそうなそのときだ。

「よかったら、あんぱんおひとついかがですか」

面食らった。
あまりにも自然な声掛けに。
あんぱんいらんけどなーと思ったつかの間、私の口を衝いて出たのは、
「じゃあせっかくなら」
だった。
いや、そう言う前に、レジ横に積まれたあんぱんを手に取っていた。
迷いが生じたとすれば、つぶあんこしあんか、その瞬間だけだった。

なるほどこれだったのかと思った。
全国一位の一位たる所以は。

コンビニのレジ横には、ついで買いを促す商品が必ず置いてある。
ガムやらチロルチョコやらお饅頭やら。
そのつもりなどなくても、目にしたらついつい買ってしまう仕掛けとして。

そしてこのセブンイレブンでは、そのついで買いを更に促進する術として、積極的な声掛けをおこなっているのだ。
能動的に、だけれどもあくまで自然に。
私がなんのためらいもなくあんぱんを手に取ってしまったように。

まさかこんな片田舎のコンビニが一位だなんてと思っていたその裏には、相応の理由があるのだと知った。