カフェオレの泡

浮かんでは消えていく泡のようなもの

【読書日記】2023.10.16(月) 『それいけズッコケ三人組』

夕食時、次男が長男に問題を出していた。
「今日俺は、図書室で何の秘密を借りたでしょう?」
次男は図書の時間に「○○の秘密」シリーズを好んで借りている。
というより秘密シリーズしか借りてないようだ。
「んー、なんかヒントちょうだい」
「4時間目のあと」
「は!?借りた時間なんてなんのヒントにもならんやろ!ちゃんと本に関するヒントを言って!」とキレ気味の長男。
「いや、これがヒントなんだって」
「はあ?そんなん、わかるわけないやん」
「じゃあ正解を言いまーす。正解は『給食の秘密』でしたー」
「はあああああ?なんじゃそりゃ」
長男は納得いってないようだが、これは次男が一枚上手だったというわけだ。

ところで昨日、娘と図書館に行った際に、『それいけズッコケ三人組』を借りてきた。
ズッコケ三人組と言えば、舞台となっている花山町は広島の己斐地区がモデルとなっており、著者の那須正幹先生も同地の出身だ。
私が広島という土地に住み始め7年、途中一度離れたものの、その前にも住んでいた頃からカウントすると15年になる。
この地にいるからには一度、ズッコケ三人組の再読に注力しようと思っていたものの、なかなかきっかけがつかめずにずるずるとなっていた。
昨日娘と図書館を訪れた際に、児童書のコーナーをふらふら見ていると、シリーズ第一巻を見つけてしまったため、ついにその時がきたのかと自然と手が伸びた。

『それいけズッコケ三人組』には5つの話が収められている。
「ゆめのゴールデンクイズ」では、モーちゃんがテレビのクイズ番組に出演することになる。
全十五問のすべてに正解すれば、賞金が15万円もらえると知ったハチベエハカセは、クイズの特訓がうまくいかないモーちゃんをみかねて、あることを企てる。
トランシーバーを使って、遠隔でモーちゃんに答えを教えると言う作戦だ。
ハカセは意気込んで、トランシーバーに見えない補聴器型トランシーバー開発し、クイズ大会本番を迎える。
ふたりの思惑通りどんどんと正解を重ねるモーちゃん、全問正解のままついに最後の問題まできた。
そこで横やりが入る。
会場に観に来ていた担任の先生に不正がばれてしまい、答えを伝達できずにモーちゃんは全問正解を逃してしまう。
不正は良くないねという教訓を得て物語は終わるかと思いきや、そうはいかないのがこのシリーズの魅力だろう。
実はこの補聴器型トランシーバーが、最初から使えていなかったことがわかる。
つまりモーちゃんは14問、自力で正解していたということだ。
作戦はうまくいかなかったし、先生に怒られるしで、俺たちはズッコケだなとなって、ここにズッコケ三人組が誕生する。

「いいじゃないか、ぼくも、きみも、いっしょうけんめいやったんだもの。最後は、すこしズッコケちゃったけどね。」
「ふふ、ズッコケ仲間だな、おれたち。」
「モーちゃんだって、最後の問題でズッコケちゃったから、ズッコケ三人組ってところだね。」
「ふふ、ズッコケ三人組かあ。ようし、あした、モーちゃんにいってやろうか。おれたちズッコケ三人組っていう名前になったって。」
 ふたりは、からりと晴れた秋空の下を、元気よく歩き出した。

出典:那須正幹『それいけズッコケ三人組』(ポプラ社)

シリーズあと49冊の冒険が始まる。


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