カフェオレの泡

浮かんでは消えていく泡のようなもの

【読書日記】2023.7.8(土) ハヤシライス

ハヤシライスを食べた。
30歳を過ぎたあたりから、急にハヤシライスが好きになった。
なにか特別なきっかけがあったわけではないけれど、ある時、たまにはカレーじゃなくてハヤシライスでも食べてみるかと試してみたら、その美味しさに驚いた。
子どもの頃からどうせ食べるならカレーのほうがいいと思っていたから、なんとなくハヤシライスを避けてきた。
その結果、大人になってもろくに食べることなく月日は流れた。
ハヤシライスの美味しさに気づいてから、ずいぶんと損したような気分になった。
それ以来、ときどきハヤシライスを作る。
それでもやはりカレーの頻度には及ばない。
カレーの引力が強すぎるのではあるまいか。

そもそもハヤシライスとは何なのか。
ハヤシライスは発祥も名前の由来も諸説あるらしいが、有力な説として丸善創業者の早矢仕有的が作ったとされるものがある。

明治の初期、丸善創業者の早矢仕有的が考案、そこから名付けられたとされる「ハヤシライス」。
ハヤシライスの命名には諸説ありますが、有的は当時日本を訪れていた多くの外国人との親交があり、また西洋料理にもなじみがあったため、友人が訪れるとあり合わせの肉や野菜をゴッタ煮にして、ご飯を添えて振る舞っていたようです。やがてこの料理は「早矢仕さんのライス」といわれるようになり、評判が評判を呼んでついには「ハヤシライス」の名で街のレストランのメニューになったとか。
(『丸善百年史』より抜粋)

引用元:丸善ジュンク堂コーポレートサイト

ハヤシライスの起源が丸善にあるということを最初に知ったとき、大学時代にオムライス屋でアルバイトをしていた友人の林君が、「俺のまかない料理はハヤシライスやあ」と言っていたのをなぜか思い出した。

 

ちょうど一年前、友人の結婚式で東京に行った。
せっかく東京まで来たのならばと、結婚式の翌日、丸善に寄り本を何冊か買ったあと丸善カフェにてハヤシライスを食べた。
上品にもグレイビーボートに入れられ、運ばれてきた。
さすが発祥というだけあって深い味わいだったし、なんともインテリな気分になった。
値段もそこそこした。
カレーのルーが入ってることでおなじみの、あの銀の魔法のランプみたいなやつがグレイビーボートという名前であることは、今初めて知った。
美味しかったということだけは憶えているのだが、どんな味だったかまではもう思い出せない。
ハヤシライスの弱点はそこにあるのではないかと思った。


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